「”評価経済社会”の感想。」

「FREE」の12章、最後の方に(ひっそりと)”非貨幣経済”として10ページ程設けられた話がある。
「注目経済 or 評判経済」もしくは、「贈与経済」――
 
ネットにおいて取り扱うのはビット、ビットは驚異的なスピードでFREEになる。お金は死ぬ。評判がやり取りされるようになる・・・、という話と、時に人は贈与、まったくの手弁当で人に貢献したりもする、という話である。
 
まぁどちらとも今に始まった事ではない、実は今ある社会でも既に、商品に評判をくっつけて売っている、とも言える。
普通の服なら5000円、ブランドが付けば5万円。
卑近な例で言えば、自分がもし大人気ゲームを発表して有名なら、有料メルマガを取りたがる人はいるかも知れない。ゲーム雑誌からインタビューの話も舞い込むかも知れない。
どちらとも評判が無ければほぼ0に近かった話であり、また人気作を作った以後積もった「評価」をお金のように刷って発行している、という解釈もできる。
CDが売れなくなったけど、youtubeで何万回も再生されてるアーティストがライブを開いてキャッシュインする。これも違う形で取っているけど、根本にあるのは評価であり、FREEの文脈として評価経済は十分に語れるものである。
むしろ決済などの面でよりスムーズに、望ましい形に形を変えるよう(もっともお金を取りやすいトコロに適していける)そんな流動性さえあるようにも感じられる・・・
 
「贈与経済」=まったくの見返り無しに奉仕するというと、ボランティアやNPOの活動を思い浮かぶだろうか。
それも一つだと思う、例えばお天気SNSに喜んで情報を提供する人が居るように(http://d.hatena.ne.jp/gamecome/20110503/1294501968)その力は存外に大きく、新しい。
その場がおもしろければ、無料で何百人もの力が提供されるかも知れないという事実。(と言うか、コストが掛からないという一事に注目すると、サービスとして製品として、革新的である。どころか、これらの人は反対にお金を取っても付いてくるという事実。この時点でサービスとしての本質は変わっている、とさえ言える・・・)
 
もしくはカリスマ性のあるアーティストが今度ライブをやるよ、と漏らしたとする。その人の日頃の評価にもよるが、その瞬間からアーティストのため、と口コミを広げたがる人が何百と現れるかも知れない。口コミは通常の広告よりもずっと信頼性は高く、実際の購入に至る確率はもっと高い。お金を掛けてもなかなかに起こしにくいこと、と認識されている。
もっとも効果が高く、そしてお金では出来にくいことを簡単に引き起こす。
この時点で言えば、評価>お金 とも言える。そう、評価はお金を兼ね・・・そして、超える。
貨幣経済
 
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そんなニューオーダー語ったったで、実践したったで、という本がこれである。

 
既に予兆として起きてることを題としてひとまず挙げてみたけど、それでも思うのは、SFか? 社会学か? それとも自己啓発か? そんな本って感じじゃないかなあ、ということであった。なんかオカシイよね、と普段から感じていない人にとっては絵空事
第一もう起きてるんだったらあえて読む必要もないし、みたいな。
しかし積極的に評価経済を意識することで、まぁより有利なボジションに付けるかも知れない。(お金→評価 とメインの価値観がシフトしていくにしても、まあ人の時間ってのは有限、評価は競い合いになるだろうと。)
とりあえず自分にとっては、日頃うっすらと(社会に対して?)不安に感じてたことが、スーッと解き明かされて消えていったような。
 
え、なんで評価経済だと不安が消えるの? やっぱ自己啓発か、宗教か? って事だけど・・・
評価はこれからぐんぐん比重が増して、伸びていく。言うなら新興市場。どんどん流通して、景気がいい。
使って注目を集められたら気持ちイイし、持ってるだけでもこの先、どんどん値上がりしそう。欲しがる人はこの先どんどん増えてく。
逆にお金は(デフレで)実際、不景気。これから先も下向きそう。

幸福の条件はごく簡単なことで、これからどんどん良くなっていくか、あるいは悪くなっていくか? で決まってると思う。常に未来を見て今を決めてる・・・というか。今腰痛くても、あでも明日になったら治ってるから! だったら、まぁいい気がしない?less than a minute ago via ついっぷる/twipple Favorite Retweet Reply

 
 
とりあえずこの本で大事なのは、後半の100ページくらい。実際のところ、この本を手に取った人は「評価経済ってなによ」「で、どうすればいいの?」を知りたいと思う、けど後半以外の150ページは、「パラダイムの変化」についてずっと講義してる。
なんか大学の一年生が習う社会学とかこんな感じではないだろうか。大学知らんけど・・・。
 
新しい技術が産み出されるとそれに伴い、人の価値観も変わる。ヘタなSF小説とか、技術が進んだ未来を見せるけど、価値観が変わってないから不自然なんだ。
みたいな話はさすがにSFオタクの面目躍如という所であろうが、まぁここら辺の話は3ページくらい読めば分かるでしょ?
分かるのだが、様々な例を出し、時にロマンチストな文体で何回も繰り返される・・・。(ご丁寧に、初めに説明した事を中・最後、といった感じで確認される。いや講義みたいだね、ホント・・・)
 
新しいテクノロジで人の価値観も変わる。変わったらもう戻すことはできません。
ウン、まぁそうなんじゃないの? でここは150ページ飛ばしたいところ・・・。
まぁ他に言ってる事があるとすれば、今までの文明は「モノ不足・時間余り」「モノ余り・時間不足」を寄せては返す波のように繰り返してきた、という解釈も入る。ふーん。
 
で今は、著者によると「モノ不足・情報余り」らしい。
えぇ? モノとか余裕で余ってるじゃないすか、と言う事じゃなく、モノを重視するか否か、ということ。
どうもモノを消費しまくってもそんな幸せじゃねえ、と人々の意識は変わってきてると。
そもそもモノをがんがん生産すべし、生産したら幸せになれるよ。というのは科学的思考なんだけど、科学だけで全て救われるか、というとちょっと怪しいだろと。
脳とか実は全然分かってないし、病気の根本治療ができたと思ったら、なんかまた新しい病気も出てくる。科学を突き詰めて、なんか余計な悩みを新しく作ってるところもあんじゃないか。
・・・まぁイメージで言えばロハスな生き方である。モノを大事にしましょう、という訳で「モノ不足」となるらしく。
そしてモノを消費する=貨幣で何とかする、であって、現行の貨幣経済への否定、と繋がっていきもする。
 
・・・そっすかねぇ? ロハスな生き方とかそんなメジャーっすか? やっぱお金とか普通に欲しくないっスか?
という気持ちも分からなくない。
しかしまー反面に、お金を手に入れたところで実際、買いたいものはあるか? 正味な話、好きなコトして生きられる分があったら、もうそれ以上要らなくない? ヨットとか欲しいの?
お金が欲しいんじゃなくて、お金をたくさん持ってることによるパワー、羨望が欲しいだけじゃないの?
・・・なら初めから評価に直結すると思わん?
と言われれば、少しは当て嵌まるトコロもあるのでは。物価はどんどんデフレになってるし、人間がするべき仕事もどんどん減ってる。
となると時間は余るかも・・・みたいな。半信半疑ではあるけれど。
 
 
そして時間が余った人間が何をするかというと、まぁtwitterとか、ブログでもいいし、自己表現である。
この本は『僕たちの洗脳社会』という本の改訂で、16年前の当時書いたのが「今までTVや新聞、いわば権力側しか持っていなかった”他人に影響を与える=発信”という事を、これからは個人ができるようになる。この新しいテクノロジはパラダイム変化を引き起こす」という事だったらしいのね。
で今またリニューアルして、その頃に比べてインターネットもだいぶ一般に流布した、自己表現ってヤツも簡単になった。昔なんかHTMLで直に更新してましたからね。あと昨今のFREEブーム。FREEは基本的に貨幣の否定の方向へ向かうからね。
ダブルの意味で評価が大事になるだろうと・・・。
 
現在のレートでいうと、評価>お金 に間違いないし。
単純に商品を売ってもそう、同じゲームでも実績がある人なら売れやすい。始めに勢いが付いたら、”評判らしい”ということで後追いの人が買ったりして、二倍重ねで売れていったり。まさに評価で加速しているケース。
 
「評価」はお金より簡潔で、早く流通しやすい。
お金をリアルに持ち歩かなきゃいけないなんて不便、ってことでクレジットカードになったり、大きなお金を動かす場合は手形を切ったりする。これは数ヵ月後に詰める、という約束であって、そこにお金は無い。この人は数ヵ月後には詰める人だ、と信頼をいわば売っている。
しょせんお金は人と人が約束事を進める上でのルールに過ぎないから、もしお互いを信頼できるなら、普通に撤廃できる。(あぁまたSF入ってきたか?)
撤廃とはいかんでも、例えばネットの世界ならば、決済の不都合もあるし、そっちの方がよりスムーズにいくだろう。
これはFREEにも沿っていることかも知れない、つまりユーザーとの関係上の中で、もっとも収益を取るべき所に落ち着いていく。
従って次のパラダイム足りえる、ということか・・・?
 
幾ら何でも今日明日にお金が完全否定されるってことはない、今のシステムでお金を稼いでる人がいる以上、当面は半分半分くらいの動きでいき、少しずつ評価が占める割合が大きくなるよ、という事だと思うけど(そしてその意味で、お金より評価をポジションした方が有利になるよ、と)
 
しかし評価を高めよって事になっても、じゃあどうしたらいいのか? 皆が自己表現してる。有象無象の話は誰も聞いちゃくれない。自分が注目されるにはどうしたらいいか?
ここに全然答えていないのが非常に手落ちだと思う・・・(岡田斗司夫氏は既にそれを手にしていたからだろうか)
評価が重視される社会では、一人のリーダーの周りにコミニュティが出来、それが幾つも乱立する。別にそこのコミニュティ専属って訳じゃなく、構成員は、楽しい所へとどんどん流れていけばいい(掛け持ちでもいいし)
モノを重視しなくなったので、精神性を尊び、学ぶこと自体が好きだからである。あとライブで盛り上がれる感じというか。楽しければいいじゃん、という価値観。まぁ俺もそうだ。
(この辺り、昨今のボランティア活動が盛んなのと絡めて上手く説明しており、すごく腑に落ちた感じがした。
 今どきゲームばっかやる価値観でもないしね。ゲームもやるけど、ブログなりなんなり、他のこともやるし。絡めて楽しむ。
 そして好き・面白けりゃ一緒にやるし、そうじゃなきゃすぐに離れる・・・で、また生産活動自体が加速しそうな気もするし。)
で、そのコミニュティのリーダーは
1.コミュを作る意義を示す(作る製品は1つの目的に特化したもの)
2.リーダーのキャラクターを確立
などすると、上手く人が集まってライブ感を楽しめて評価も増すだろう、と述べているのだが、そもそもPV自体が少なきゃ、どんなおもしろ芸人も、意義も空しいんじゃないかなぁと思うよね・・・。
 

で今となってはみんなが求めてるから、評価を得るにもけっこうキツイ道になってる。1.既に評価を持ってる人に認めてもらう(恐らく何か代償を要求される)2.奇抜な事とかをして注目を集める(炎上マーケティングとかね)3.・・・も思い付いたんだけど、自分がやるからナイショless than a minute ago via ついっぷる/twipple Favorite Retweet Reply

ああそう、4.FREE これもあるんだろうか? まだまだ考えればあるのかな。1.は自分とっちゃ屈辱的だし、既得利権の人の気分次第だから嫌そうな道だね。でもメンターとかって可能性もあるから、人しだいだ やはり。less than a minute ago via ついっぷる/twipple Favorite Retweet Reply

まぁどういう形であれ、既に注目されている人に絡む・認めてもらう。インターネットではこれに終始する気もする・・・(無から湧いてきたりはしないだろう、しょせんネットワークだ)
 
そういう意味で、岡田斗司夫氏が行うオタキングex--世の中に発表するコンテンツは無料で、「作る側に入るには、月1万が掛かる」というのは、穿った見方をすれば「認められる(評価を得る)かもしれない権利」のチケットを、月1万で販売してるって事じゃないかな、とも思ったり
まぁPVを自分一人で集めようとすると多大な苦労がいる、良い買い物かも知れないとは思うが。(岡田斗司夫氏の知名度なら集まる仲間も良いメンツだろうし、良い学びの機会にもなるだろう。出版の方にも、コネとか出来るかも知れない)
売る側としても、一番オイシイ商品は”権利を売ること”だと思うし・・・。
 
まさに評価を一度集めたら現金製造機みたいじゃねえか、と揶揄もできるが(実際にお金=評価という交換が成り立っているなら、個人が”お金を発行できる”に近い? お金の発行は法律で禁止されてるけど、評価を次々と高めることはできる・・・)
ただ評価をお金に換金すれば、当然評価は減っていく。
一発屋の芸人が講演をやったりすると初めはお客も来るだろうが、それ以後芸の方でヒットしなければ、講演にもどんどん人は集まらなくなっていく。
 
以前、岡田斗司夫氏がインタビューで答えてたレベル1〜3という話は、この辺のシステム具合かも知れない、と思ったりもする。
http://diamond.jp/articles/-/12025?page=2
 
レベル2はホリエモンだという、つまり、評価をお金に変えれば評価は下がるはずだけど、それ以上にバリバリ働きまくって、結果的に評価を落とさない・・・ってコトだろうか?
レベル3は岡田斗司夫氏が行うFREEexという仕組み。これは参加している人たちがお金を払い・しかも、評価を上げることに協力しようと動く。楽ができそう。
さきほどの芸人の例で言えば、一発ネタで流行った芸人の講演、ただしその講演自体がどんどん面白い物になっていく、という感じか・・・?
レベル1はマドンナらしいが、これは知らん・・・ 
単純にサポーターがリーダーへと関わる深度の話だろうか?
 

 
関連:
オタキング ex 創世記」http://blog.livedoor.jp/otakingex/archives/cat_10026130.html
面白いです。相変わらずなんかちょっとロマンチスト入った文章ですが・・・。もう50歳過ぎてるのに・・・。秋元康恋愛論みたいな感じや。
 
オタキングex」http://otaking-ex.jp/wp/
無料でむっちゃコンテンツがあって、雑誌みたいで面白いと思うんだけど、飛びまくってると、元のページがどこにあるか、見つからなくなる・・・(サイトが巨大すぎる)
サイトマップとか無いんですか・・・
 
「ぼくたちの洗脳社会」の改訂と書きましたが、そっちも無料で公開されてるみたい。
http://otaking-ex.jp/special/book001_001.html
 
ま、金ならあるし(週刊アスキー)【パソゲー開発】
http://otaking-ex.jp/wp/?p=1237
同人(エロ)ゲー製作者としては、ウン十年前の話なのに既に「ゲームに見えるCG集」がオイシイと打ち出していて、驚かされる。
まぁ昔のPC事情と、今のDL同人界隈がちょっと似た状況なんでしょうかね・・・? って事はこの先の展開も、同じになる? 
 
わりと最近の発売ですが
「けらくの使者」
>「3DダンジョンRPG付きCG集」!
とズバリ言ってるところが潔いですね。まぁ他のも大なり小なりそう、というか、それが求められているならば四の五の言わずにやれ、ですな・・・。