「なぜあの商品は急に売れ出したのか―口コミ感染の法則」の感想

今日は読んだ本の感想を書きます。
生き方――考え方、そして行動が変わるのはやっぱり本によるものが多いと思う。
自分だけか。人によってはひょっとして映画とかあるかも知れないし、もしかしたらゲームも。
ゲームで生き方変わった人なら、ゲーム製作がライフワークな可能性は大きいのか?
モラトリアムじゃなく。
 

なぜあの商品は急に売れ出したのか―口コミ感染の法則
マルコム・グラッドウェル
飛鳥新社
売り上げランキング: 150821
古典的な名著、という高評価と冗長やという低評価がありまして、まぁ気にしつつも買ってみたんですわ。
 
でもさすがに2001年の本、というか初出の雑誌掲載は1999年だそうで、もう多分みんな「この法則」を知っている・・・。
言葉にするか・感覚だけで捉えているか、っていう違うはあるかも知れんけど、まぁ大体みんなピンと来るかと。
 
あと
「ティッピング・ポイント―いかにして「小さな変化」が「大きな変化」を生み出すか」
「急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則 (SB文庫 ク 2-1)」
これらの本は、この「なぜあの商品は急に売れ出したのか―口コミ感染の法則」の改題・追記らしいので念のため。
 

だいたいの内容

例えば流行りにしたい服なんか、渋谷で500人にタダで配ったりしないよね。今は。
貰って喜ぶアイテムは<今既に流行ってる服>であって、<次に流行らせたい服>は一般人にとっては”あんまイケてない””良く分かんない”。
そんなんを貰っても、まぁ服はかさばるし、イケてない服を着てると自分までダサく思われるから、さて500人居て、実際着て街に出るのは何人?
そういう話。
 
で今はどうするかって言うと、まぁいわゆるファッションリーダーという人がおりまして、こういう人が流行りの服を着る。
そうするとカッコイイので、みんな欲しがる。
無料で配っても着なかった500人が、高い金出して欲しがる。お金を掛けたのはむしろファッションリーダーに、ただ一人。
 
という。
奇抜な服だってガガ様ならOKだ。ガガ様はさすがにイノベーダー過ぎる気もするが。
(*ファッションリーダー、流行に鋭い人たち、そして普通にファッションする人たち、あんまファッションしない人たち・・・
 という層がある。
 ガガ様はファッションリーダーより更に突き抜けとる・・・)
 
みんな大体感じてるでしょう、こういうことは。普段生きていて。
 
という訳で大事なのは、「クチコミは実は無差別にバラまいても広まらない、広める人が居て、その人に渡してやるのが大事」という法則。
ではなぜ今までのクチコミは、無差別にバラまいて来たか?
結局、さっきの話だったら500人、
500人の中にたまたま1人、”広める人”が居たらクチコミが始まっちゃうからね。結果的に。
(その一人にヒットするか否かの境界が”ティッピングポイント”)
それでクチコミ政策がヒットしたんや、と勘違いしていた。と。
 
それから、”広める人”は媒介者・情報通・説得者と三種類に分類できる・・・と話は続きます。
媒介者はとにかくつながってる人が多い人。知り合った人の誕生日とか全員覚えてる。
もしこの人がクチコミしたら、爆発的に広まる。
情報通はその分野にとにかく詳しい人。この人は友達は少ないけど、信頼できる商品をクチコミしてくれる、と一目置かれてる(大体、媒介者がつながってるでしょう)
 
クチコミの順番としては、情報通→媒介者、と広まっていくことになるでしょう。両方の役割を兼ねてる人もいる。
で説得者は、最後、ウワサが広まって興味あるけど、買い控えている人にプッシュする人。
押しが強い人、とも言える。
情報通はまぁオタクなので、自分は良いと思うけど、人には余り強制したりしない。
説得者はセールスマン、という言い方がしっくり来るかも知れない。(webだったらアフィリエイトブログとか運営してる人だろうか?)
 
と一通り説明してくれたあと、
『こういう事が分かったなら後は簡単だ、それぞれの役割を持つ人に働きかければ良いのだ!』みたいな感じで文は結ばれる。
 
そういう人が周りに居ないから皆困ってるんじゃないかな???
 

web時代を考慮して、活かし方を考えてみるく

まぁでも時代は21世紀、ブログ持ってる人や例えばtwitterでフォロワーが多い人の方が、広まりやすいってのは分かるし。
説得者はアフィブログやってる人かも、って書いたけど、ここでのアフィブログはでかい画像をひたすら貼り・・・って人を想定して言った。
情報通が書く記事は、一つ一つがしっかりした知見に基づいているので、あんまり記事の更新が頻繁ではないのだ。
アフィもあんま推してないかも知れない。控えめに貼ってある感じ。
 
媒介者は逆に、今だとブログとかやってないかも。
人と繋がるのが好きだから、より繋がれるtwitterや、それすらやってなく、skypeベースで人と話してるかも知れない。
(ますます出会うのが難しいね。リアルならともかく、ネットでは・・・)
ブログやってなくて、twitterのフォロワーがかなり多くて、しかもリプ見た感じ濃い付き合いしてそうなら、媒介者っぽいってことか・・・?
 
あと、いわゆる非匿名でも、頻繁に2chにカキコミする人、ほとんど書かない人、ってのも居そうな気がする。
 
なんとかサービスを広めようと躍起になるけど、クチコミで測る時、実はPVには質があって、そういう人達に来て欲しいよね、
宣伝するにしてもそういう人たちに向けて宣伝したいよね。
という事でしょうか。
 

冗長?

あと冗長というのはマジで本当。
本書の3分の2くらいはデータの証明、そんでもって余談、に費やされてます。
これはwebで評判を聞いて買う人固有の話だけど、もう退屈なデータの証明はあんま要らん。
まぁみんな、有名な人とかも評価してるってことは正しいんだろ。と、その過程は飛ばしたくなっちゃう。
ネットで配ってるモノだったら、第3版くらいからデータの証明を削っていくと、お客のニーズに応えてるってことかも・・・
 
で余談はマジで余談で、セサミストリートの開発秘話に詳しくなったりしました。
まったく意味ねえ。
 
メッセージが記憶に残る・粘り着くのが大事だとか、小さな差が大きな差になる(ティッピングポイントを超えるかどうかが肝心だから)
とかも序盤で色々言ってた気もするんですけど、本当に冗長で、趣旨が読み取りにくいですから。
行動に活かせない気がバリバリと・・・。
 

他の本の方が・・・

むしろ明日からの具体的な方法としては

とかの方がよっぽど詳しかったりする。
これはむしろ明日から出来る事が多すぎて、初見ではなんか低レベルにすら感じられたんだけど、
「小さな差が大きくなる」
とかを考えると、やっぱ日本一のコンサルタントってだけはあるなと・・・
 
あとよくよく考えると、FREEとは割と真逆な主張で(FREEはタダで配りまくり、多くのムダから価値ある上澄みをすくう、という考えでもあるから)
今読んでるツイッターノミクス TwitterNomicsの初めで、
”もう『ティッピングポイント』とか古いスよ・・・”と語られていてハハッ ワロス
(FREEなら、誰でも媒介者並に影響力を持てるからか?)
 
でもタダでみんな配り始めたら、やっぱり埋もれちゃうでしょう。
そしたらティッピングポイントの大切さ、もしくは絞り込んでアピールする大切さが、再び浮かび上がってくると思うんですけどね・・・。