仮想世界錬金術―モバイルソーシャルアプリに見る現代ディジタルコンテンツ革命 の感想

グダりすぎ

初の単行本で浮かれているのか、あれもこれもとトピックを詰め込み、話題は右往左往、
そこここで知識あんだぞ、という所を見せて、しかし説明はいらん所で細かに説明したり、かと思えばかなり難しいハードウェアの所は説明ナシで爆走したり、
非常に頭に入りにくい印象だった。
どういう人間を対象にするか、絞って書いたかも怪しい。
けっきょく一息付けるのは、オシマイの奇妙な愛国心…に似た、「がんばれ、日本!」だったりする。
 
日本の携帯はガラパゴスなどと揶揄されているが、実は独走状態、ここに付いてくるまでに世界はまだまだ時間がかかる。
と言われたって、スマフォがもう主流になりつつありますし… という感じ。
なにしろ読み始めに待っているのは、いきなり「本書を3行で」である。
2chのスレかい。
そこから少し読んでみれば、「いきなり最初からカタカナと表ばかりになってしまった。相当数の読者が読むのを諦めてしまったかもしれない。」とこぼす、そんな文言を書く前に読まれる努力をして欲しいね、あと読者層を絞れば…。
 

慧眼ではある

などと怒っていても仕方ない。
中身はさすがに大学博士&技術者という感じで、確かにFaceBookのゲームのソーシャル性など低い。
やってみれば分かるが、ある時点から友達を招待しなければウンともスンとも進まなくなる。
それに比べて日本のソシャゲーのゲーム性は凄い、というのも説得力がある。友達招待だけでなく、課金アイテムや、あるいはそのまま無料プレイを続けさせる為の仕組みも満載である。
課金率にも現れており、両者とも成功した例で、FaceBookアプリは2%がいいとこ、ソシャゲーは5%〜10%だという。凄いね。
まぁこのパーセンテージは、FaceBookはクレジットカードだのなんだの面倒いけど、ソシャゲーはキャリア課金が出来るから…
という話でもある。
 
確かに同人ゲームをDL販売している身からしても、あのキャリア課金の手軽さは非常に羨ましい、というか手軽すぎて反則じゃねえか、という気もしてくるほど。
そのキャリア課金の手軽さこそが、日本にだけ出来る芸当であり、それが革命や錬金術…と表現するのもまぁ、説得力ある。
製造を後進国に譲れば、先進国はサービス業が発展する。ネットはまだ情報を提供してるだけ。情報を「サービス」として楽しめるよう加工するのが、ゲーム(感覚)、というのも頷ける話。
 
…でも基地局建てて通信インフラを整えるより、wi-fiの方が断然安くすむし、日本のようにアホが如くインフラにお金を費やす国も少ないと思う。つまり世界の潮流たりえない。
それよか、wi-fiでもなんとかキャリア課金する方向に技術開発していこう、となると思うのだけど、それは無理なのかな…??
…こういうハードウェアの話になると一気に専門用語や、仕組みのオンパレード(説明もほとんどせず)なので、今いち分からなかったよ。(伝わってねえ)
そして専門用語を気持ちよく語った所で、時事ネタ、そして日本はスゴイ! という話にふらふら振れていくと、あぁ初めから書籍にすべき内容じゃなく、日記で気炎吐いてるレベルだったのかな? と思ってしまう。
 

ソシャゲー特有のゲームニクス

自分がこの本を買った理由は、ソシャゲー課金へ導く心理、そこを学びたかったからである。
その点では、少し学ぶ所もあった。
・小さい目標を提示して、適度なハードルを用意し、それを乗り越えると全力で褒めてやる。
・かんたん操作
まぁこの辺はゲームとして基本だろう。
 
ソシャゲー特有の文脈としては
・他人の(ある一定以上の仲の)アバターやらステータスが見えて、対抗心が湧く
・時間を指定することで煽る(終末努力という)。有効なのはあと○○時間、というリアル時間の提示
・あえて連続プレイはできないような設計。間を空けさせる。一度に連続プレイで攻略されるより、習慣づけられる。
 言うなら「お預け」(*これはほとんどのゲーム文化に無いな、と思った)
・現金10円とかいうと抵抗感が生じるので、10キャバポイント、とかの扱い。また初めはポイントをじゃかじゃか無償で与えて、
 「購入する」という事に違和感を持たせなくする
・無料でも時間さえ掛ければ進めるようにしてある。ただ、ここで「お預け」や「終末努力」で、さんざん時間に絡んだシステムが生きてくる。
 時間よりもお金を使う事が賢い選択肢、という下地をあらかじめ作っておく。
 
などか。まぁソシャゲーに限らず、オンラインRPGとかでも見受けられる所もあるが…
 
他に興味深かった点としては
・ネットではタダが基本。ゆえに「購入厨」みたいな言葉も生まれ、”買うのが損”みたいなムードが形成されつつあった。
 がソシャゲーの世界では、アイテム課金した人に素直に羨望を感じ、自分も購入していく。
 そういった感覚の再構築に成功している(これはすごいし、正しい気がするね)
・近代では知識は、解析・合成・そして、運用から成る。
 基本的に成功した例を見て解析し、手持ちのアイデアと組み合わせてリリースするけど、それが成功すれば、必ずその周りにコミニュティが生まれる(初めからそれを意識した作りである無しに関わらず。)なので、解析や合成と同じレベルで、「運用」が大事になってくる(…なるほど。)
 
下地として「ゲームニクスとは何か―日本発、世界基準のものづくり法則 (幻冬舎新書)」を持って来てるけど、たまたま111はこれ読んでるので言うと、この本はいかんせん主張に骨太さが無くて、ゲーム感覚だったらTVのリモコンのボタンはもっと少なくなる。あれだけボタンあるゲームコントラーなんて有り得ないだろ? そう感じられるのがゲームニクス。ゲーム感覚。
という感じで、それ以上の何でもなかったと記憶しているが。
 

あ、錬金術ってこれか。ゲームニクスゲーミフィケーション で読み解くと完璧?

このゲーム感覚、ってところを取り出すと、流行りの”ゲーミフィケーション”になるのだろうか?
ゲーム感覚を適応すれば、数段分かりやすくなるし、お客さんが積極的になって、購買意欲も湧くってこと。
単なる「感覚」ってだけでは、儲け(ビジネス)にならない。
金の素と組み合わせる必要がある。
課金への入り口だ。
 
故にキャリア課金と組み合わせたソシャゲーがまさに最終形で最強、ってことか?
今はスマフォでキャリア課金がなかなか出来ないから、ゲーミフィケーション? お店でスタンプ押すことだよ。というオママゴトになっちゃうけど、
アプリも動くスマフォが、クレジットカードの様に使えたら、そりゃ圧倒的な太い金の流れがある。
現実とアプリ上でのゲーム性の連動も楽しそう。
新しいビジネスモデル足り得ている、という気はする。
 
SNS、課金、ゲーム感覚…。スマフォによるゲーム内だけでなく、現実での利用。(…だからARG(仮想現実ゲーム)も含む?)
これらのラインでまだ金脈は眠っていそうね。
 
 
ちなみに本当は開発中のSRPGの、フリー版→シェア版へ移行させるシステムを勉強したかったんだけど、ソシャゲー前提…つまりネット接続&SNS&キャリア課金だった為、ほとんど役立たず。
合成システムを体験版だけ3回にしようかあとか、読まなくても気付きそうなことに終始しました…